ボルドーワインとは

ボルドーワインはワイン投資において押さえておきたい重要なワインです。

ワインの国際取引所「Liv-ex」において
ボルドーワインの取引量は一番大きく、最もシェアが高い銘柄となっています。

ボルドーとはどのような産地で代表銘柄にはどのようなワインがあるのでしょうか。
今回は世界最高ランクのワイン銘醸地の一つ、ボルドーのワインについてご紹介します。

※「Liv-ex」とはThe London International Vintners Exchangeの略でロンドン国際ワイン取引所を意味します。Liv-exではファインワインの価格を指数化しているため、ワイン投資においてワインの価値を判断するために活用するインデックスとなっています。

ボルトーとは

ボルドーの歴史

ボルドーとは「水のほとり( Au bordde l’eau)」を意味します。
フランス南西部の港町で、複数の河川が流れる貿易の町で、主に外国向けにワインを輸出して栄えました。なぜなら、ボルドーは山脈に囲まれ、フランス国内へのアクセスはよくない一方で、海に面しており、北欧へのアクセスがよいためです。
特に英国領であった歴史もあり、イギリスへの輸出を多く行っていました。

ボルドーのワイン産地

ボルドーは2つのエリアで区分することが多く、
ボルドー地方を流れる大河の東側を右岸、西側を左岸として区分します。
右岸・左岸には以下の地区が区分され、地区ごとに土壌や品種の特徴が違います。

右岸と左岸の違い

右岸

右岸は粘土質土壌で保水力があるため、
比較的冷たい土でも成熟するメルローが多く栽培されています。

右岸の主な地区

右岸と呼ばれるエリアには以下の地区と村があります。

  • サンテミリオン地区
  • ポムロール地区
左岸

左岸は砂礫質土壌で熱を維持しやすい土壌のため、
果皮が熱く熟成するのに熱量が必要なカベルネ・ソーヴィニヨンが多く植えています。

左岸の主な地区
  • メドック地区:サン・テステーフ村(Saint-Estephe)、ポイヤック村(Pauillac)、
    サン・ジュリアン村(Saint-Julien)、マルゴー村(Margaux)、
    リストラック村(Listrac)、ムーリ村(Moulis)
  • グラーヴ地区:ぺサック・レオニャン(Pessac Leognan)
  • ソーテルヌ地区

ボルドーワインの格付け

ボルドーワインには格付けがあり、各地区ごとにランク分けが異なります。
今回は特に有名なメドック地区の赤ワインの格付けについてご紹介します。

メドック格付けとは

メドック地区では全61シャトーを1~5級に分けて格付けしています。
※「シャトー」とはボルドーで言うワイナリーを指します。

1855年のパリ万国博覧会開催に際し、ナポレオン3世の要請で制定された格付けが始まりました。

展示品となる優れたワインを選定するにあたり、当時すでにイギリス等で確立されていたボルドーの人気銘柄の序列や、取引価格を基にして、 ボルドー市商工会議所が格付けリストを作成されました。

5大シャトー

メドック格付けワインの中で最も最上位の第1級には5つのシャトーがあります。
ワイン愛好家としても投資銘柄としても押さえておきたい重要なシャトーで、今回はその特徴をご紹介します。

CHÂTEAU LAFITE ROTHSCHILD シャトー・ラフィット・ロスチャイルド

ヴェルサイユ宮殿で毎夜開催される晩餐会に振る舞われ、
ルイ15世が嗜んでいるワインということから、「王のワイン」とも呼ばれました。

フランスの貴族のステータスシンボルとなることで名声を高め、
同時にメドック地区の品質の高さを伝える結果にもなったのです。

繊細でエレガントな味わいが特徴です。

CHÂTEAU MARGAUX シャトー・マルゴー

「フランスワインの女王」と呼ばれるマルゴー。

約30年にわたりシャトーの総支配人を務めた故ポール・ポンタリエ氏は、
「ベルベットの手袋の中の鋼鉄の拳」と表現。
マルゴーが目指すエレガントな強さを秘めたしなやかさであることをこの言葉が表しています。

マルゴーは、イギリス初代首相ロバート・ウォルが愛したことでも有名。
文豪ヘミングウェイはマルゴーを愛し過ぎてその名を娘につけるなど、
各界の著名人にも寵愛されていました。

CHÂTEAU LATOUR シャトー・ラトゥール

14世紀中頃に要塞として建設された塔がシンボル。
18世紀初頭、ニコラ・アレキサンドル・ド・セギュール侯爵が所有者となった頃から名声を高めていき、彼の死後もその高い名声は維持され続け、格付けでも1級の称号を勝ち得ました。
完璧なまでの品質主義により、常に進化を続けています。

近年は、ボルドーの多くの一流シャトーが行っているプリムール販売から撤退。
「最高の飲み頃で味わってほしい」ため飲み頃を迎えたと判断したヴィンテージからリリースされるようになりました。

5大シャトーの中で最もパワフルで凝縮感が強い味わいと言われています。

CHÂTEAU HAUT-BRION シャトー・オーブリオン

シャトー・オー・ブリオンは、メドック格付けで唯一、
グラーヴ地区のペサック・レオニャンに位置するシャトーです。

メドック地区の格付けでありながら、当時から大変有名であったために、格付けに加わりました。

フランスがナポレオン戦争で敗れた後のウィーン会議で、
毎夜豪華な食事とともにオー・ブリオンが各国の代表者に振る舞われたという話が有名。
これがきっかけで各国の代表者たちの態度が軟化し、フランスが領土をほとんど失わずに済んだとさえ言われており、「フランスの救世主」として称えられました。

カベルネ・ソーヴィニョンより、メルロの比率が高くなるヴィンテージがあるなど、メドック地区とはまた違った個性を持つ個性的なワインです。

CHÂTEAU MOUTON ROTHSCHILD シャトー・ムートン・ロートシルト

1855年の格付けでは2級の格付けだったものの、その後1973年に1級に昇格。

100年以上も変更されることのなかったメドック格付けの不問律を破ったのです。

1945年以降、ダリやシャガール、ミロをはじめとする
現代アーティストなどの作品をワインのエチケットに起用。

毎年異なるエチケットはコレクターからも人気を博しています。

ボルドーワインの市場価値

投資市場

ボルドーワインはワイン投資において最もシェアが高く、
Live-exのデータでは取引の全体の約40%はボルドーワインとなっています。
また、ワインは国際市場が不安定なときでも安定して上昇し、
特にボルドーは高い上昇率を維持しています。

なぜボルドーワインが選ばれるのか?

ワイン投資において、なぜボルドーワインが高い人気を集めるのでしょうか。

その主な理由を3つご紹介します。

安定した品質価値

ワイン造りに重要な品種・栽培・醸造条件において、ボルドーでは厳しい水準を設けており、安定した品質価値が維持されています。

長期熟成に向いたワイン

ボルドー品種は長期熟成に向いており、ワインの価値が年々高まるため、若いうちに購入すれば投資価値の向上が期待できます。

高い人気で需要が大きい

需要が供給量を上回り、オークションで高値で売れるため、高い人気と投資価値を持っています。

まとめ

ボルドーワインはその伝統と高い品質から世界中にファンが多い貴重なワインです。

また、長期熟成に耐えうるポテンシャルの高さを誇るため、記念のヴィンテージを購入し、熟成後の味わいを楽しんだり、投資用として価値の情報を期待したりすることができます。

この機会にボルドーワインの魅力を知っていただければ幸いです。